メールマガジン
2024年6月号 (第219号)
皆さんは今朝起きて、顔を洗いましたか?トイレへ行きましたか?今号のテーマは、こうした日常の生活シーンにおいて、誰もがお世話になっている「管用ねじ」をとりあげます。
「管用ねじ」はJIS規格では「かんよう」ではなく、訓読みの「くだよう」と読みます。
例えば、水道管やガス管をイメージしていただくとわかりやすいと思います。主に、中が空っぽの筒状のパイプ端面と、L字・T字・J字形をした継手(つぎて)とよばれる部品とを接続する箇所のねじとして使われています(パイプ端だけでなく、金型ベースへの冷却水穴口や、旋盤工具ホルダのクーラント給油口などにも使われることがあります)。
中に通るものとしては水(=液体)やガス(=気体)などの流体のほか、電線ケーブルなど長尺物のケースもあります。そこでJIS規格では、流体のように、特に漏れないような配慮が求められる箇所向けには「耐密結合用」、そこまで耐密性を要求しない用途向けに「機械的結合用」の2通りのねじ規格を設けています。
よく見ると、耐密結合用ではテーパねじが利用されていて、漏れないようシール性を高める意識がうかがえます(実際にはねじ単体だけでのはめ合いでなく、樹脂製のシールテープを間に挟んで使うことで、機能を補完するのが一般的です)。
ちょっとややこしいのですが、世の中では現行のJIS(ISO等級)と、もう30年以上前に廃止になっている従来JISとが、どちらも加工図面に登場します。
そのため、管用ねじの加工や検査にあたって、どの工具を選べばよいのか?と戸惑うお客様がたくさんおられます。コミュニケーションダイヤルやFAQサイトへのお問い合わせも、非常に増えてきています。
そこでズバリ簡潔に選定ポイントをお伝えしましょう!
加工工具は共用できる!
測定工具は共用できない!
と覚えて下さい。
「加工工具は共用できる!」について
従来/現行JISとの間でねじ自体の寸法・形状に違いはありませんので、タップやねじ切りダイス(おねじ加工用)は、同じ「呼び」であればそのままお使いいただけます。「測定工具は共用できない!」について
従来/現行JISとの間で、ゲージの寸法・形状・角度の許容差は細かく「違い」があります。そもそもゲージは、指示通りのものを用いることでのみ、正しい合否判断が可能、という鉄則があります。いくら同じ「呼び」だとしても共用はできません。製品の信頼性を裏付ける肝ですので、安易な共用は禁物です。特にテーパねじゲージの形状の違いは、合否判定に大きく関わりますのでご注意ください。加工相談FAQサイト内には「かんたん管用ねじゲージ選定」ページをご用意しています。質問に対して回答していくだけで、迷うことなく正しいゲージが選べます。
ぜひご活用ください。
「かんたん管用ねじゲージ選定」ページはこちら
蛇口をひねれば水が出る(某県ではオレンジジュースが出るらしいですが)……そんな我々の暮らしを陰でしっかり支えてくれている管用ねじには、どれだけ感謝しても足りませんね!(ちょっと大げさ?)
謹啓、青葉若葉の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。今月は玉手箱を踏まえ、どれだけ感謝しても足りない管用ねじ、特にガスや水など耐密な結合を求められる管用めねじ(Rc又はPT、RpまたはPS)を加工する工具を、イチオシとして取り上げたいと存じます。
過去、何度も触れて参りましたように(注1)、管用テーパねじの加工のように難しいタップ加工でお勧めしたいのは、やはりスレッドミルでございます。小爺がお薦めするポイントは以下3つ。
1. タップ加工に付きものの、ストップマークがつかない
2. 加工中のトルクが小さく工具や機械への負荷が少ない
3. 切りくずトラブルが発生し難い
順番に検証してまいりたいと存じます。
S45CにM10×1.5のめねじを加工する場合の比較でございますが、スレッドミルの切削トルクは、タップの 7.52N・mに対し0.53N・mと非常に小さく、1/10以下であることがお分かり頂けると存じます。
更に一般的なタップでは食い付き部のみで切削を行うのに対し、管用テーパタップは完全ねじ部でも切削を行いますので、摩擦抵抗が増加し2~3倍の切削トルクがかかります。下のグラフは管用テーパタップの切削トルクの実験値でございます。PT1のSS400の加工では200N・m近いトルクが計測されております。残念ながら本加工をスレッドミルで行った場合の実験値はございませんが、かなり小さくなることが予想できます。
3. 切りくずトラブルが発生し難い
タップ(スパイラルタップ)とスレッドミルの切りくずを比べてみましょう。こちらはスパイラルタップの切りくずで、スパイラルタップの切りくずとしてとても良好な切りくずでございます。一方、スレッドミルで加工した切りくずがこちら。繋がらず、非常に細かく分断された切りくずとなってございます。さて、どちらの切りくずが工具に絡みついたり、ワークを傷つけるような問題を発生しやすいでしょう?申し上げるまでもございませんね。
以上、「ストップマークがつかない」、「加工中のトルクが小さい」、「切りくずトラブルが発生し難い」という利点から、スレッドミルをイチオシとして推させて頂きました。
因みに、過去、どれくらい触れて参ったか(注1)を確認してみましたら、本シリーズが始まった2014年5月以来、実に8回触れて参ったことが確認できました。こうしてバックナンバーを並べてみると、何度も同じようなことを申し上げており、お恥ずかしい限りでございます(^^;
バックナンバー一覧
2014年9月号(第105号):ねじきりフライス
2015年11月号(第119号):プラネットタップ
2017年12月号(第144号):管用テーパねじ加工
2020年7月号(第175号):AT-2
2021年12月号(第192号):スレッドミル管用ねじ
2022年3月号(第195号):AT-2
2022年5月号(第197号):高品位なタップ加工
2023年4月号(第208号):AT-1・AT-2
本稿も皆さまのSDGsな課題解決として、また、お仕事の付加価値や生産性の向上に貢献できれば幸いでございます。
謹言
推薦コメント:
今回は四国のお土産から2つ紹介させていただきます。香川と言えば「うどん」を想像されるかと思いますが、うどんだけではないんです!
一つ目は株式会社名物かまどのかまどパイです。
かまどパイは地元讃岐で子供からお年寄りまで大人気!厳選したバターを使用して、ひとつひとつ手作業で練り上げられたリーフパイです。サクッというよりも、しっかりとした食べ応えがあり、バターの風味とクルミのアクセントが絶妙なパイ菓子です。小箱から大箱まであるので、自分用やお裾分け用のお土産にはちょうどいいお菓子です。
二つ目は宗家くつわ堂の瓦せんべいです。
香川といえば和三盆も有名です。宗家くつわ堂の瓦せんべいは、讃岐和三盆の原料となる「白下糖」を使った、素朴な美味しさのおせんべいです。特長は何と言ってもその大きさ!通常サイズの他に気軽につまめる小サイズや、顔が隠れてしまうほどの特大サイズ。さらに、実際の瓦と同じ大きさの特々大サイズとバラエティー豊かなサイズがあります。お土産に渡せば話題になること間違いなしです!
香川と言えばもちろん「うどん」も欠かせません。行く先々にうどん屋さん!香川にはおよそ700軒のうどん屋さんがあり、コンビニの数より多いと言われています。私は1年でまだ20軒ほどしか行けておりませんが、皆さんにお勧めのうどん屋さんを紹介できるよう、これからも1軒1軒、制覇していきたいと思います。ぜひ香川にお越しいただき、美味しいうどんを召し上がってください!
株式会社名物かまど
https://kamado.co.jp/
宗家くつわ堂
https://www.kutsuwado.co.jp/
鬼頭は2011年に入社し、今年で営業14年目を迎えます。両毛営業所、八王子営業所、大阪営業所を経て、1年前から四国事務所配属となりました。
スポーツを見るのも、プレイするのも好きで、OSGがメインスポンサーを務めるプロバスケチーム「三遠ネオフェニックス」の試合観戦やゴルフを楽しんでいるそうです。今年の11月には、初めてフルマラソンにもチャレンジするとのこと。それぞれの土地でしか体験できないことに毎回チャレンジしながら、営業活動を楽しんでいますとコメントしています。