メールマガジン
2017年12月号 (第144号)
今回は、水道管やガス管などに使われる管用テーパねじを加工するためのテーパタップのお話です。「テーパ」とは、「長さに対して直径が変化している」ということ。つまり、テーパタップは先端が細く、シャンク側に向かって少しずつ太くなる形状ということです。
さて、今回はそんなテーパタップについて、「テーパタップはどこまで入れるのか」というテーマでお送りします。
しかし、テーパタップは違います。主な切削は先端の食付き部で行いますが、どんどん太くなっている形状のため、深く入れれば入れるだけ、めねじはどんどん大きくなってしまいます。では、いったいどこまで入れて、どこで止めるのが良いのでしょうか?
答えは、「基準径位置まで」です。
おねじとめねじがはまりあう基準となる径が規格で定められており、そこまでタップで加工すると、ちょうどよい大きさのめねじが出来上がります。
ところが、タップ本体には「ここが基準径」とひと目でわかるような印はありません。ねじ部全体を100とすると、先端から65~70ぐらいの位置が基準径となります。カタログにはそれぞれのタップの基準径位置が記載されていますが、タップ自身の製作許容差もありますので、必ずドンピシャその数値、というわけではないため注意が必要です。そのため、一般的には、まずカタログ記載の基準径位置まで加工し、テーパプラグゲージで確認してから、微調整を行って本切削に入る、という方法が広く用いられています。
オーエスジーのテーパタップには、ひと目で基準径位置がわかるように工夫されたものもあります。粉末ハイスを工具母材に使用したCPMシリーズがそれです。
ひと刃のみ、基準径位置から後ろのねじ山をすべて山払い加工してあります。基準径から後ろは通常加工に使わない部分なので、加工上の問題はありません。
・・・良かれと思ってのサービスなのですが、時々お客様から「おい!途中からねじ山のない不良品がきたゾ!」とお叱りのお電話をいただくことも・・・。
本日これを読んでくださった方は、お分かりいただけますよね。もうお叱りのお電話はありませんように(^^)
謹啓、師走の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。OSGの窓際の自由人、K爺でございます。師走でございますし、前置きはなく早速本題へ…技術の玉手箱に引き続き、イチオシも管用テーパねじ加工についてで、ございます。
穴加工における宿命的欠点、穴の「刃数+1」の多角化が、実はタップ加工においても、大なり小なり起きていることを確認したいと存じます。一例をみてみましょう。
上表及び図は、被削材AC4C-F、ねじサイズPT3/4、深さ20mmの加工を横形マシニングセンタで、一般的なタップ加工とスレッドミル※1加工で行い比較したモノです。
※1: スレッドミルは、ねじきりフライスとも呼ばれ、当社ではプラネットタップと呼んでいた時もございます。当社では管用テーパ用に、ハイス母材のPNGT、超硬母材のOT-PNGT、インデキサブルタイプのHY-PRO Pをご用意しております。また来春以降となりますが、新しいスレッドミル〝ワンレボリューションスレッドミル“A-THREAD MILL AT-1にも管用テーパ用がラインナップされる計画でございます。
本事例では、管用タップで加工されためねじは多角形状で真円度が0.12mm、対してPNGT(スレッドミル)で加工したものは多角形状とならず真円度も0.04mmと、管用テーパタップよりも高精度に加工できていることが分かります。加えて、管用テーパタップの加工では、正転が終了する際のストップマークが付いてしまいます。対してスレッドミルの加工ではストップマークは付きません。より高精度な管用テーパねじの加工にはスレッドミルが有効と言えます。
注意)スレッドミルを用いるには、加工機にX、Y、Zの三軸同時制御機構が付いており、専用のプログラムが必要となります。
以上、管用テーパのねじ加工には、被削材や加工機の制約、求める精度に応じて、加工方法と工具の選択肢があることのご紹介でした。皆さまの夢をカタチに、本稿が皆さまのお仕事の一助となれば幸いでございます。
謹言
【Q】 加工にあった切削油の選定をお願いしたいのですが?
【A】 オーエスジーでは、現状の油剤、不具合点、被削材、加工の内容をお教えいただければ、それに応じた切削油の選定を致します。カタログ掲載の切削油以外にも、多数おすすめできる切削油がございます。一度、当社営業までご相談ください。
クリスマスの雰囲気が盛り上がってきた中、いつもの二人が編集部のミニツリーを飾りつけています。
さらちゃん
今年のクリスマスの予定は?
マサコちゃん
う~ん、彼との予定はないけど、友達とバルに飲みに行くくらいかな。ご褒美ディナーってとこね。
さらちゃん
いいなぁ。私、シングルベルかもしれない・・・一人焼肉とか寂しいしなぁ。
そこへけんさんから内線が!!
けんさん
さらちゃん、24日、展示会行けるかな?急きょ、クリスくんの都合が悪くなって。帰りに一杯おごるよ!
さらちゃん
Well..., better than nothing!! OK、しもしも(笑)いいですよ、展示会行きます。
けんさん
ん?しもしも?!ん?ウェル, ベター??そんなに良い方向にとらえてくれて助かるよ♪
さらちゃん
あはは、違います。『(It’s) better than nothing』は少し皮肉を込めて、一人でいるよりはまし、ないよりいいという事です!美味しいランチを食べたかったのに時間がなくコンビニのおにぎりで終わり!でも、まぁないよりましか!みたいな(笑)
けんさん
おいおい、そりゃおれの財布じゃ居酒屋がいいとこだけど・・・コンビニのおにぎり扱いって。
さらちゃん
けんさん、ごちそう様です‼お店、探しときますね(^^
たくさんのご応募、ありがとうございました。
「工具」や「加工」などにまつわる思い出やエピソードを川柳にする「OSG川柳」今年もたくさんの作品が集まりました。そんな多数の応募作品の中から、見事「最優秀賞」、「優秀賞」、「佳作」に輝いた作品を発表いたします!
【最優秀賞】
メルマガ
・職人の 優れた指先 神の域 (ANNZU)
Facebook
・開かぬなら 開けて見せます オーエスジー (清藤 政則)
【優秀賞】
・3枚刃(葉)? 幸運願って 4枚刃(葉)? (クローバー)
・立てられぬ タップを真っ直ぐ 立てられぬ (A.I.)
【佳作】
・機械加工 神の一手を 目指す日々 (マキタ/須浪)
・鉄ですか? プロは迷わず 「◯◯鋼」 (晴遊雨酔)
入賞された方には順次、賞品を発送いたします。お楽しみに♪