メールマガジン
2020年4月号 (第172号)
今月号は、「工具とアスペクト比」をテーマにお届けします。
「アスペクト比」は聞きなれない言葉かもしれませんが、サクッと一言で説明すると、縦と横の長さの比率のことです。
なじみがあるのはテレビやパソコンの画面の4:3とか16:9で表現される「画面アスペクト比」ではないでしょうか。
では、工具とアスペクト比にはどんな関係があるのか説明していきます。
結論からになりますが、アスペクト比は工具の「剛性(曲げやねじりに対する変形のしづらさ)」に大きく影響します。アスペクト比と表現すると難しく聞こえるかもしれませんが、「L/D(エルバイディ)」と言えばピンとくるのではないでしょうか。
では、どのように影響が出るのか片側が固定された丸棒を例に説明します。下の図をご覧ください。
BはAと比べて突出し量が同じで直径が2倍、CはAと比べて直径が同じで突出し量が2倍と考えることができます。
想像はつくかと思いますが、剛性はB>A>Cとなります。
ここで気を付けていただきたいのは、突出し量が2倍になると剛性は1/2……ではなく1/8となり、たわみの発生量は8倍になります。逆に直径が2倍になると剛性は2倍……ではなく16倍になり、たわみの発生量は1/16になります。
では、丸棒をホルダから突き出たエンドミルに置き換えて考えてみましょう。この場合、エンドミルにおけるアスペクト比は「突出し長さ:工具径」、L/Dなら「突出し量/工具径」となります。つまり、工具径が小さく、突き出し量が多いエンドミルは剛性が低下すると考えられます。
剛性が低下すると加工中のエンドミルには「たわみ」が生じ易くなり、倒れやびびり振動の発生領域が大きくなります。その結果、加工精度を低下させたり、工具寿命が大きく低下したり悪影響を及ぼします。
このことから、エンドミルの選定は「太く」「短く」を意識していただく必要があります。加えて、工具だけではなくホルダを含めたアスペクト比を考慮しなければならない点にも気を付けていただければと思います。
より詳細に理論・データをご確認になりたい方は、オーエスジーの「テクニカルデータ エンドミル加工」P.54~57ページをご参照ください。
「太く」「短く」がエンドミル選定の基本ですが、どうしても刃長の長い工具を選定しなければならない場合もあるかと思います。オーエスジーでは高剛性、びびり抑制効果のあるAE-VMLをご用意しております。新たにラジアスタイプもラインアップに加わりましたので是非ご確認いただければと思います。
謹啓、春陽の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。春陽の候と申しましても、諸々自粛で少々淋しい桜の季節でございますね。私たちの業界でも、インターモールド2020が中止となりました。さて、上がらない雨はない。気を取り直して今月のイチオシでございます。今月は少し趣向を変えて……
【問題】
以下は、お客様に喜んで頂けた、弊社のあるボールエンドミルの事例でございます。どのボールエンドミルの事例かお分かり頂けますか?
使用工具 | 従来工具 | 最新工具 |
サイズ | R1 | R1 |
表面処理 | ‐ | DUROREY |
切削速度 | 47 m/min | |
回転速度 | 7,500 min-1 | |
送り速度 | 160 mm/min | |
送り量 | 0.02 mm/rev | |
被削材 | SUJ3(HRC55~58) | |
軸方向切込み | 0.8 mm | |
切削方法 | 突き加工 | |
切削油 | エマルション | |
結果 | 1,775ワーク | 3,000ワーク |
加工面にスジが入ってしまうとNGとなるワークで、従来のボールエンドミルでは1,800個弱でスジが入るのに対し、最新工具では3,000個まで加工が可能であった。 |
【ヒント】
1)そのボールエンドミルは、可変ネガスパイラルギャッシュを採用し、先端部は強ネガでチッピングを抑制、外周部は弱ネガで切れ味を確保しつつ、弱ねじれとの組み合わせにより耐チッピング性を向上させております
2)そのボールエンドミルは、中心部を厚くすることでボール先端のつぶれやチッピングを抑制しております
3)そのボールエンドミルは優れたボールR精度を確保しております
正解は…………
AE-BD-Hでございます。問題の事例は、上記ヒントで紹介させて頂いたAE-BD-Hの効能が遺憾なく発揮された好事例でございました。あまりに嬉しく紹介させて頂きました。本稿も、皆さまのお仕事の一助となれば幸いでございます。
謹言
to see eye to eye
「意見が一致する」「話が合う」
気がつけば2020年も4月。新年度の始まり、フレッシュな新入社員たちが期待に胸を膨らませながら社会人の一歩を踏み出す季節となりました。
けんさん:
今年も、我が社にも新入社員が入ってきたねぇ。
毎年この時期、あの初々しい姿を見るとこっちまで若返った気持ちになるね!
さらちゃん:
そうですね。でもぉ…
けんさんは自分の新人の頃ってまだ覚えてるんですか?(笑)
私はついこの前の事だからしっかり覚えてますけど(^^)v
けんさん:
し、失礼な!新人の頃の気持ちはまだまだ忘れてないのだ。
「初心忘るべからず!」
悲しいかな、けんさんの初心はあっさり黙殺され・・・
マサコちゃん:
そういえば、さらさん知ってます?
隣の部署に新人さんが配属されたんですって?
さらちゃん:
もちろん!聞いたわよ。竹内〇真くんに似ているらしいわね。
マサコちゃん:
さすがさらさん!情報早いですね。
ところで…うちの部署には新人さん来ないんですかねぇ?
いつまで経っても何十年前の新人(けんさんをチラッと見て)しかいないですしねぇ。。。新人欲しいですよね。
さらちゃん:
「I’m glad that we see eye to eye on this issue.」
(この件について、意見が一致して嬉しいわ)
けんさん、ここには新人は来ないんですか?
けんさん:
ムムム…残念ながら我が部署にはそんな余裕はありません!
人を増やしたければ、もっと頑張って仕事して成果をあげて貰わないとね。
さあ、早く仕事に取り掛かって!
さらちゃん:
はーい。
じゃ、来月の記事のインタビューで、隣の部署の新人君に会ってきまーす\(^o^)/
けんさん:
うっ!こういう時の行動力だけは新人の時から成長してるんだよね。。
もっと他の部分も成長してほしいんだけどなぁ(>_<)
ということで、本年度も変わらぬメンバーのメルマガ編集部、どうぞよろしくお願いいたします。素敵な出会いがたくさんありますように(^^)