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2016年7月号 (第127号)

技術の玉手箱 / センタリング

梅雨の終盤、空の雰囲気が少しずつ夏らしくなってきました。

今月から私’だぎっち’が、皆様に技術のお話をご紹介させて頂きます。後輩の鳩田君と共に、営業新人の教育を担当しております。実は、若かりし日の鳩田君も私が教えたのですよ。

私の得意分野はドリルです。営業新人教育でもドリルになると5割増しで、話をしてしまいます。なんといってもドリルは男のロマンですから!!

今回は、ドリル加工の中で「センタリング」についてお話をしたいと思います。センタリングとはドリルの穴位置精度を向上させる為、ドリル加工前に位置決めを施す加工をいいます。

まずは、8D以下の加工で言いますと、昔からの一般用ハイスストレートシャンクドリル(黒ドリル)などでは以下の点により、90度面取りのセンタドリルによるセンタリングが必要です。
1)取り付け後の振れが大きい
2)ドリルの母材硬度が低い
3)送り量が低く設定されている

しかし、現在のハイスルーマ型ドリルでは
1)取り付け後の振れが小さい
2)ドリルの母材硬度が高い
3)送り量が高く設定されている
以上により、センタドリルでセンタリングは必要ありません。センタリング無しと比較しても、穴位置精度は向上するどころか逆に肩部が欠けてしまうような事例も発生しています。

但し、以下の場合はセンタリング加工を推奨します。
・加工面が斜面、曲面
・10D以上の加工
・穴位置精度が厳しい

当社ハイスルーマ型ドリルでの穴位置精度をご紹介しますと……
・スタブ形状:0.05mm以下
・レギュラ形状: 0.1mm以下
(取り付け時の振れにも寄ります)
レギュラ形状で0.05mm以下の精度が必要な場合は、当社リーディングドリルで同じ先端角のものをお勧めします。

センタリングの工程を省くことが出来れば、サイクルタイムと工具費が削減出来る可能性がありますね。ぜひ、一度見直してみてはいかがでしょうか。

‘K爺’のイチオシ商品 / PXMC

 謹啓、仲夏の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。OSGの窓際の自由人、K爺でございます。このコーナーでは、モノづくりを取り巻く様々な知見とともに、OSGのイチオシ工具を紹介して参ります。皆さまのお仕事の一助となれば幸いでございます。

 今月はミリング工具に関わるイチオシでございます。とその前に、工具の突出し長さが加工に与える影響について確認したいと存じます。工具は突出し長さが長くなればなるほど、工具がたわみやすくなるのは皆さま重々ご承知の通りでございます。例えば、同じ径の工具であれば、突出し長さが2倍になると同じ量の工具のたわみ(下図a)を発生するのに必要な負荷は1/8となります。(F3=1/8F1)逆に言えば、工具の突出し長さが2倍になると8倍たわみやすいということでございます。

 【丸棒の曲げ強さ】

【丸棒の曲げ強さ】




参考までに、工具の径が2倍になると16倍の負荷が必要となり、(F2=16F1)工具は16倍たわみ難い(剛性が高い)と言えます。
 加えて工具の刃長は耐久にも影響を与えることが分かっております。以下のグラフは刃長と耐久のグラフでございます。刃長が2倍(以下のグラフの刃長15mm ⇒ 30mm)になりますと、工具の耐久は凡そ1/10まで低下することがお分かり頂けると存じます。



【刃長と切削耐久長さ】

【刃長と切削耐久長さ】



更に突出し長さは、加工時の工具の振れにも影響を与えることもございます。以下のグラフは工具取り付け時の振れが加工中にどう変動するかを、突出し長さ毎に比較したモノでございます。突出し長さが長いほど、回転数を上げると振れがいっそう大きくなる傾向がご確認頂けると存じます。


【工具の振れと回転速度】

【工具の振れと回転速度】

 さて以上より、『ミリング加工の最適化には、突出し長さは極力短い方が良い』ということに異論はないかと存じます。そこを踏まえて、今月のイチオシ、OSG PhoenixシリーズのPXMC(※PXM用コレット)でございます。(※PXMは当社のヘッド交換式エンドミル)
 PXMCの最大のポイントはツーリングと工具を合わせた工具長が非常に短いことでございます。下図は従来型のツーリングとの組み合わせとPXMCとの対比でございます。同じPXMを用いても、突出し長さが極端に短く出来ることがお分かり頂けると存じます。

 では、この短い工具の突出しの効能を、小型加工機(BT30)の事例で確認して参りましょう。下表は、同じ加工を、①ソリッドエンドミル(下表の左)、②PXMCを用いたPXM(同中央)、③インデキサブル(同右)の、それぞれ経済的に使えるサイズを適切な加工条件で加工した比較でございます。①~③それぞれコスト重視、能率重視で選定は変わってくるかと存じますが、こと加工能率重視で考えますと、①での加工時間を100%とした場合、②は19%、③は547%と、PXMCを用いた加工では、圧倒的な時短が図れられたことがご確認頂けると存じます。工具径も種類も異なり、あくまで参考的な事例ではございますが、短い工具の突出しの効能の事例として紹介させて頂きました。

  以上、工具の突出し長さを短くした高能率加工を実現するPXMCをイチオシとしてご紹介させて頂きました。いっそう充実のPXMシリーズがPXMCとのマッチングにより、益々、日本のモノづくりの生産性向上、競争力向上に寄与出来れば幸甚でございます。

謹言

【Q】 「ラジアスエンドミルが欲しい」と言われたら?
【A】 ラジアスエンドミルとは、刃先がコーナR形状になっています。又、一般的な形状を「スクエア」、ボール形状を「ボール」と言います。

梅雨明け前の蒸し暑いある日。
今日もマサコちゃんとさらちゃんが盛り上がっています。


さらちゃん:
GWは遠い昔だし、お盆休みはまだかとカレンダーを無駄にペラペラしちゃうよね。

マサコちゃん:
さらちゃんは予定ある?でも、お盆休みはどこも混むんだよね~。

さらちゃん:
それでも夏祭りや花火、行楽地は満喫しなきゃ♪

マサコちゃん:
ところでさらちゃんってお出かけの時、なんでそんなに荷物が多いの?

さらちゃん:
その答えはただ一つ、それは「just in case」ですね。

ん、丁度良いケース????お出かけカバンが大きい方が丁度良いの????????毎度のことながらさらちゃんに確認です。

けんちゃん:
今の「just in case」って、「大は小を兼ねる」みたいな意味なの?

やや苦笑しながらさらちゃんが説明をします。

さらちゃん:
「just in case」で「念のため」という意味なんです。

例えば

こんな感じです。

私の荷物が多いのは、『楽しむためには準備も必要よね?ということで晴れ雨兼用の傘にUVカットの長袖と日焼け止め、ペットボトルのお茶に、ハンカチは2枚でしょ、あっ、扇子とウェットティッシュもいるし、デジカメは必須。ガイドブックは大小両方必要だし……。

だって何が起こるかわからないし、持ってて損はないし必要でしょ? そんな沢山いらないでしょ?必要なら買えばいいじゃんっていうけれど、買えるかもわからないし、必要な時にほしいじゃないですか!?

……案の定、ぐずぐずした天気で迎えた花火大会の日。最後のスターマインを残し降り出した雨。傘を取出し、急いで退散、雨宿り。ホコリと雨で汚れた足元はウェットティッシュでふいて……せっかくだからと取り出したガイドブックで評判のカフェに行先を変更。
ほらね?「just in case」持ってきてよかったでしょ?』となるわけです。

けんちゃん:
なるほどね。想像の数だけ持ち物が増えるわけね。

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