メールマガジン
2018年2月号 （第146号）
今回は、熱処理により硬さが30HRCを超える被削材（調質鋼ともいう）を例に挙げて、高硬度鋼加工でのタップ選定についてお話したいと思います。
高硬度鋼。その名の通り硬くて丈夫な金属ですので、金型・工具などの耐摩耗性が求められる製品などによく使われます。
このような硬い被削材には、タップでの加工において様々な難しい特性があります。最大の問題点は、すぐに摩耗してしまうことと刃こぼれすること。
一般的なハイスタップの硬さはおよそ65HRCですので、高硬度になるとタップの硬度差が小さくなり、摩耗し易くなります。そして、その差が20をきると歯が立たないことも・・・。また、一般向けのタップでは刃が鋭すぎて、すぐに刃こぼれしてしまうこともあります。
こうしてみると難しさばかりが目立ってしまう硬い被削材ですが、良い特性も持っています。硬い切りくずは、軟鋼のようにくるくるとカール状に伸びることができません。ぽろぽろと細かく分断されて出てきます。つまり、切りくずがタップに絡みつくことがない！これは長所ですよね。
そんな高硬度鋼用のタップの選定ポイントは大きく3つあります。
(1) 摩耗に強い工具材質
被削材の硬さによって、工具の材質を変えることが大切です。タップの材質は一般的にハイスが主流ですが、OSGでは、硬さ40～50HRC用タップには粉末ハイス、50～60HRC用タップには超硬を採用しています。
(2) 欠けにくい刃形
刃こぼれしないよう、欠けにくい刃形にする必要もありますよね。具体的にはすくい角をマイナスにし、シャープな切れ味を意図的に抑えます。ネガ刃形とも呼ばれますが、一般用のポジ刃形のものと比べると、ずいぶん違うことが分かります。
(3) 溝数を増やして一刃当たりの負担を軽減
硬い被削材になればなるほど、一刃当たりの負担を減らすために溝の数を増やすという工夫も有効です。溝の数が増えれば、刃数も増えることになりますので、たくさんの刃で分担して切り進むことができるようになります。
この3点を、選定の際の参考にしていただければと思います。
…が、最適な工具を選ぶには、まず被削材の硬度確認をお願いします！
今回は硬さが30HRCを超える被削材を高硬度鋼として取り上げましたが、「硬い」の尺度は人によって異なります。
どうしても普段加工している被削材と比較しての表現になってしまうので、40HRCの調質鋼を指して
「めちゃくちゃ硬い」
という方もいれば
「そんなに硬度は入っていない」
という方もいらっしゃいます。
まずは、被削材の硬度を数値で確認して下さい。そして、その硬度に合ったタップのご選定をお願い致します。
謹啓、暮冬の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。今月のイチオシは玉手箱を踏まえまして、高硬度材用タップのご紹介！と申したいところですが、色々大人の事情がありましてドリルのお話を…いやぁ、穴があったら入りたい(笑)しようもないダジャレで失礼しました。気を取り直して、お付き合いくださいませ。
今月のイチオシは、「粉末ハイス」にも穴があくドリル‟WH70-DRL“でございます。とその前に、たまには、お客様の状況を確認してみたいと思います。
以下は、玉手箱にもありました高硬度材が使われる工業品の一つ、金型の、日本での生産推移でございます。1991年、今は遠い昔のバブルをピークに成長した日本の金型生産、リーマンショックの影響を受け2009年～2010年をボトムに、ここ数年は増産が続いております。
【日本の金型生産推移】出典：日本金型工業会
注）機械統計･･･2014年以降は従業員30名以上の事業所を、2013年以前は20名以上の事業所を対象に集計したもの 対して工業統計は全事業所を対象に集計されたもの
こうして改めてみると、機械統計が工業統計に占める割合が30%弱と小さく、従業員30名以下の小規模事業所の生産が大半を占める日本の金型生産であることが分かります。と、このように小規模事業所が多い中、操業にあたり設備投資が多く必要となるのが金型製造業の特徴の一つ、経営者の方は限られた設備を有効活用したいと考えられていることと推察いたします。
以上を踏まえまして、放電加工機に頼らずとも高硬度材に穴をあけられるソリューションとしてご用意させて頂いたドリルが、高硬度鋼用超硬ドリル‟WH70-DRL“でございます。高級粉末ハイスの焼入れ硬度70HRCまで対応可能なこのドリル、現行モデルの前のタイプSH-DRLが開発されたのも、パンチを受けるダイの穴加工をモデルにしたものでありました。サイズバリエーションや使用条件などの詳細はこちらでご確認ください。
ちなみにWH70-DRLは、初期モデルSH-DRLに比べ、3倍の耐久向上を実現しております。以下、比較試験の結果を参照ください。
皆さまの夢をカタチに、本稿も皆さまのお仕事の一助となれば幸いでございます。来月は3月、2017年度の年度末を迎える方も多いかと思います。納得のいく年度末となりますように…
謹言
【Q】 工具突き出しが長くなると、加工中にびびったり、たわみが生じたりするが、条件で軽減出来ないか？
【A】 突出し長さや刃長別に、切削条件の設定を行うことで軽減することが可能です。
・「刃長の違いによる加工条件の目安」をご紹介します。こちらは、ショート刃に対して刃長別に切削条件の抑制比率を現していますが、加工環境や加工ワークによって切削状況は異なりますので参考値とお考え下さい。
・・・寒い寒いこの季節。朝起きた時のぬくぬくお布団は、まさに至福の時。目覚ましが鳴っていてもついついスヌーズであと5分・・・そんなある日、ついにやってしまいました二度寝による大寝坊！出勤時間まであと20分！シャワーも浴びたいし、化粧だって、カバンも用意できてない！ぎゃ～～！！！
朝礼開始時間3分前の会社では、
けんちゃん
マサコちゃん、今日ってさらちゃん出張だったっけ？
マサコちゃん
今日は出張の予定は入っていないはずですよ！！
そんな会話の中、バタバタと階段を駆け上がってくる足音が！さらちゃん何とか会社に到着。
さらちゃん
おはよう！Ｉbarely made it! (ギリギリセーフ！)けんさん大丈夫ですよね、遅刻じゃないですよね！
けんちゃん
さらちゃん、顔にマクラの線残ってるよ。ある意味アウトだな！
さらちゃん
すみませーん。。今後二度寝には気を付けます！
他にも、ちょっと太ってしまった時とかには、This skirt barely fit on me(かろうじてスカートに入ったわ！）等の場合でも使いますよ。
寒くて、身体も心も折れそうな朝が続く今日この頃、今一度規則正しく、時間に余裕のある生活を心がけたいと思います。