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2011年5月号 (第68号)

本日の玉手箱は、最適なカッタ径の考え方をご紹介します。

そもそも、100mm幅の平面を削る時のカッタ径はいくつが良いでしょう?

直径100mmのカッタで加工すれば、切り込み1回で出来上がりです。でも、カッタの端から端まで全部当たってゴンゴン進む姿を想像すると、ちょっと苦しそうな気がしませんか。

この時苦しいのは、切っているカッタだけじゃありません。そのカッタを回しながら進めている機械の方がもっと苦しいのです。

カッタ径を決める時の目安は、「切削幅÷0.6~0.7」と言われています。つまり、100mm幅を加工する場合は 100÷0.6=166.6・・・、100÷0.7=142.8・・・ですから、143mmから167mmのカッタを選べば良い!と分かり、カッタの外径には規格があるため、その中から選ぶことになります。

外径は、50・63・80・100・125・160・200・250・315mmが一般的で今回の加工では外径160mmのカッタが選ばれます。

しかし、ここで安心してはいけません!選んだカッタが機械の能力と合っているかどうかの確認が必要です。カッタはあまり遅い速度で切ると切れ味が鈍ってしまうので、被削材に合った速度での加工が求められますが、これが結構難しいのです。

例えば切削速度200m/minで外径160mmのカッタを回す時の回転速度は400min-1。「600回転以下だと力が出ない」という機械の場合には、カッタ径を100mmと小さくすることで、同じ200m/minでも回転速度が640min-1まで上がります。

ということは、外径100mmのカッタで、切削幅を60~70mmに抑えた加工が最適といえそうです。

また、「切削幅÷0.6~0.7」はあくまでも目安ですが、鋳鉄や非鉄など比較的切りやすい材料の時は0.7で割り、ステンレス鋼など難削材の時は0.6で割る、というように被削材によっても変わってきます。

「切り込みが薄いから125mmのでいいや」とか「ひとつ小さめの径にして、その分送りを上げて加工しようかな」とかバリエーションはいろいろ考えられます。

機械の動力に全く心配がないとしたら、カッタ径は大きい方が良いのでしょうか?「大きすぎるカッタ」がよろしくない例も、ひとつご紹介しておきます。

読者の皆さん、机の上に名刺入れを出してください。同じ位の大きさであれば、お店のポイントカードでも何でも構いません。仮に、これの表面をカッタが薄~く削るとします。カッタの代わりに、直径80mmのドーナツと250mmのフリスビーを用意しました。右から左にカッタを移動させますが、切り始めと切り終わりは名刺入れの外側までカッタ全体が抜けていなくてはいけません。ドーナツカッタとフリスビーカッタの動く距離を比べると、ドーナツの方が短い!送り速度が同じだとしたら、この仕事、ドーナツカッタの方が早く終わります。

「大は小をかねる」は良く使うことわざですが、「大は小をかねるも長持(ながもち:衣装ケース)は枕にならぬ」という切り返しもあるそうです。確かに、衣装ケースじゃ枕にはなりませんよね。時と場合によるという表現も、こんな言い回しだと粋な感じがいたします。

話題の炭素繊維強化複合材。中でもCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は飛行機の機体、風力発電の風車の羽根、最近ではロボット部品等にも採用されるようになりました。

CFRP材は、加工する際に工具の損耗が激しいのみならず、デラミネーションと呼ばれるバリが発生し易い独特の難しさがあります。

デラミネーションは、炭素繊維をせん断する際の抵抗を母材である軟らかなレジンが支えきれない為に発生します。その為、CFRP材の高品位加工には、高い耐摩耗性と切削抵抗の抑制、分散出来る切削工具が必要となる訳です。

例えばCFRP用のドリルとしては、穴出口のデラミネーション抑制に強ねじれのダブルアングルドリルが有効です。強ねじれにすることで鋭い切れ味を実現するとともに、先端のダブルアングルが、貫通時の削り残し部位に加わる抵抗を径方向に分散、デラミネーションの発生を抑制します。

また穴の入口、出口双方のデラミネーション抑制には、溝がストレートなトリプルアングルドリルが有効です。勿論、耐摩耗性を実現する機能、当社では、得意とするダイヤモンドコーティングを付加しております。

当社では、従来より受注対応にて各種CFRP加工専用のドリルやルーター、エンドミルなどの工具を提供して参りましたが、いよいよ一部製品が標準品としてラインナップされます。

なお、「2010“超”モノづくり部品大賞」において、前述のダブルアングルドリルが「機械部品賞」を受賞致しました。今後とも、皆様の生産性向上により貢献出来るよう、様々なニーズに応えられる工具を提供して行きたいと考える次第です。

Hello(ハロー)

言わずと知れた挨拶の決まり文句。少しくだけた感じで「こんにちは」「やあ」と声を掛ける時に使います。

たまに日本に帰ってくると「ヘンだなー」と思うことが結構あります。その中のひとつが、このHello!

アメリカだと初対面の人でもすぐに「Hello!」「 Hi how are you? 」 クシャミをしたら知らない人にでも「(God) bless you.」と、気さくに声を掛けます。目があったのに知らん顔なんてトンデモナイ!

でもネ、日本じゃ違います。通りすがりの人、右から左への視線の流れのパターンを作って、その途中に相手の姿を置いて、さりげなく視線を投げかけ、チラッと目が合っても「たまたま視線が流れた途中にアンタガイタノヨ」といった振りをして、そ知らぬ顔でチェックされます。

目が合ったら「こんにちは」と声に出せばすっきりするのに。ヘンなの。

先日も日本のホテルで人と待ち合わせをしていて、たまたま通りすがりの人と目が合ってしまいました。いつもの調子で「こんにちは!」と笑顔を向けたら、ホテルの人間と間違われて道を聞かれてしまった。オイラが支配人に見えたのかな?(ウエイター?)

でも山登りの時には正反対。山道ですれ違う人すれ違う人、全員に対して、もうウルサイ位に、「こんにちは」「コンニチハ」「こんにちはー」・・・。息が切れて苦しいのに、呼吸をもっと乱れさせようってつもりなのか。ヘンな日本。

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